嘘つきなポーカー 1【完】
由佳は大人しい子だった。
友達と一緒に楽しそうに遊んでいるところなんて見たことがない。
笑顔を見せることもほとんどない。
だけどそれには理由があることを恭平は知っていた。
由佳の母親は由佳を愛していない。
子供の恭平が見てもはっきりと分かるほどに、由佳の母親の由佳に対する態度は冷たかった。
何故かは分からない。
きっと子供には分からない深い事情があるのだ、と恭平は考えていた。
幼い頃から由佳を見てきた恭平は、由佳の表情がだんだんと色を失っていくのを実感していた。