嘘つきなポーカー 1【完】


ある日、恭平は由佳と一緒に学校から帰っていた。

恭平は私立の中学に進学したために由佳と別々の中学に行っていたので、近頃はあまり一緒に帰ることが出来なかったが、今日は幸運なことに偶然帰り道でばったり出会ったのだ。


「恭ちゃん、最近あんまり家に居ないんだね。」


由佳は寂しそうに言う。


「…あぁ、まぁね。色々忙しくて。」


恭平は誤魔化すように答えた。


恭平は由佳に自分が不良グループに入っていることは言っていなかった。

由佳がそういうものに嫌悪感を抱いていることはよく知っているし、もし自分がそんなグループに入っているなんて知れたら、嫌われてしまうかもしれないからだ。


「たまには私とも遊んでね。」


拗ねたようにそう言う由佳を諭すように、恭平は言う。


「うん、分かったよ。じゃあ、気を付けて帰るんだよ。」





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