嘘つきなポーカー 1【完】
「何?」
恭平は冷たく言い放った。
正確には、冷たいフリをした。
もしかしたら顔が引きつっていたかもしれない。
「えっと…これ届けてって頼まれたから…」
そう言って由佳は、先程地面に落としてしまった紙袋を持ち上げる。
どうしてこんな時に限って、由佳がやって来るのだろう。
恭平はそう思いながらも、再び冷たく言い放つ。
「ふーん。そこに置いといて。」
「…うん、邪魔してごめん。」
そう答えた由佳の声は震えていた。
ぽとり、と俯いた由佳の目から涙が零れた。
恭平は今すぐにでも由佳を抱き締めたかった。
本当は君を愛しているんだ、とその頭を撫でてやりたかった。
だがその時、三上や竜崎の言葉が恭平の頭をよぎる。