嘘つきなポーカー 1【完】
10章 鍵、開く
一通り話すと、恭平は大きくため息をついた。
「そこで由佳のもとに駆けつけた僕が見たもの、何だったと思う?」
「……。」
薫は黙ったまま、仰向けになる恭平に馬乗りになって体を押さえつけている。
「一緒に帰る君と由佳だよ。」
恭平は力なく笑って呟いた。
「……。」
「僕はすぐに君がケイだって分かった。だけど何で君と由佳が2人で同じ制服を着て下校してるか訳がわからなかったよ。由佳は足を怪我しているし。」
「……。」
「ただ君と話している由佳は、少し昔僕だけが見ていた由佳に似ていたんだ。表情があった。」
「……。」
「もう自分が情けなくってね。君には喧嘩にも負けて、大切な人まで取られてしまうのかと考えたら、僕は居ても立ってもいられらなかった。」
「……。」