嘘つきなポーカー 1【完】
休みが明けた途端、面倒な毎日の始まりか――…。
由佳は心の中でそう呟いて来客用のスリッパを手に取ると、それを履いて教室に向かう。
来客用のスリッパは由佳の足には少し大きすぎて、歩きにくい。
ぎこちない歩き方で廊下を歩く由佳を見て、すれ違う人たちは皆クスクスと笑う。
「おっ、幽霊女が来たぞ。」
教室に入るなり、クラスのムードメーカーの桐島和也は由佳を見て言った。
それを聞いたクラスメイトの女子たちが、笑いながら言う。
「桐島、それ幽霊に失礼だって~。」
由佳が無視して自分の席の前に来ると、油性のマジックで大きく書かれた文字が目に入る。
『笠原、死ね』
『ドブス女』
『調子乗んな』
由佳は大きくため息を吐いて、自分の席に腰かけた。