嘘つきなポーカー 1【完】
弁当を食べ終えた由佳が非常階段でぼーっとしていた時だった。
突然鳴った携帯の音に驚いて由佳は思わず変な声をあげてしまった。
画面を見ると、そこには『ケイ』の文字が表示されている。
由佳の沈んでいた気持ちが跳ね上がった。
夜じゃない時間にケイが電話をかけてくるのは初めてだ。
ラッキーなことに、今由佳は周りに誰もいない場所に居るので電話に出ることが出来た。
由佳は通話ボタンを押して、携帯を耳に当てた。
「もし…」
しかし由佳が言い終わらないうちに、由佳の声は電話の向こう側から聞こえてきた声に遮られた。
「ちょっと、あんた誰?」
それは聞き覚えのある、女の声だった。
由佳はその声を聞いて、硬直した。
「あんた、薫の何なの?」
その声は何を隠そう、由佳をいじめている主犯格の遠藤奈津子だった。