嘘つきなポーカー 1【完】


由佳は驚いて声も出すことが出来なかった。

由佳の頭の中で色んな考えがぐるぐると廻り、交差した。
まさに由佳の頭の中は混乱状態だった。


「おい、何やってんだよ。」


電話越しに聞こえてきたケイの声を聞いて、由佳ははっと息を飲んだ。


「薫、あんたの通話履歴見たらこの番号だらけだったの!どうせ女でしょ!?」

「っ…やめろ!お前には関係ねぇだろ、返せよ!」

奈津子の言葉に、普段あまり取り乱すことのない薫が焦っているのが電話越しからも由佳に伝わってくる。

「関係無くないわよ!聞いてない!」

「ほーら、2人とも落ち着いて落ち着いて!」


聞こえてくるのは、言い合いをする奈津子と薫の声と、そしてそれをなだめようとする桐島の声。

由佳の携帯を持つ手は震えていた。
由佳は震える手で通話を切った。

そして暫く呆然としてその場に座り込んでいた。



ケイの正体が、小野寺薫――…?




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