嘘つきなポーカー 1【完】
暫く沈黙が続いた。
話したいことは山ほどあったが、由佳はどういうわけか気まずくて言葉があまり出てこないのだ。
松本先生から、薫の過去の話を聞かされたからだろうか。
「お前、大丈夫だったのかよ。」
沈黙を破ったのは薫だった。
「え…?」
「怪我とかしなかったのかってことだよ。」
「うん、私は別に大丈夫…」
すると薫は遠くを見つめながら呟いた。
「…俺のこと、嫌になったか?」
「え…どうして?」
「もう知ってんだろ?俺の過去のこと。」
「…うん、聞いた。」
由佳は呟いた。