嘘つきなポーカー 1【完】


「あの優しくて正義感の強かった 恭ちゃんが、こんなことするって信じたくなかったの!」

「……。」

「私の唯一の味方だった恭ちゃんが、こんなに変わってしまったって思いたくなかっ…」


由佳が喋り終わらないうちに、薫は黙って由佳の腕を思い切り引いた。

由佳の身体はすっぽりと薫の腕の中に収まった。


「…俺がこの程度の怪我で済んだのは、あいつがあの時反射的に躊躇ったからだ。」


由佳は薫に抱き締められた驚きで声が出ない。

薫の少し速い鼓動が聞こえる。



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