嘘つきなポーカー 1【完】
その日の放課後、由佳は委員会の仕事で帰りが遅くなった。
いつもは薫と華代と一緒に帰るのだが、今日は先に帰ってもらっていた。
「あー、寒っ。」
委員会が終わり、由佳が肌寒い廊下を歩きながら独り言を零していると、後ろから名前を呼ばれた。
「笠原!」
由佳が振り返ると、そこには同じクラスの桐島和也の姿があった。
最近はなくなったと言えども、桐島には前はよく嫌がらせをされたし、あまり良いイメージはない。
「…何?」
由佳が訝しげに尋ねると、桐島は真剣な顔で「奈津子のことで話がある。」と答えた。