嘘つきなポーカー 1【完】
「もしかしてお前…俺が奈津子とキスしたから嫉妬してんの?」
由佳を塀の壁に追い込んだまま、薫は静かに呟いた。
「…ちがっ!」
そう言って否定しようとした由佳の顔に、薫の綺麗な顔が迫って来て、由佳は硬直した。
薫の長いまつ毛、綺麗な白い肌が見た事もないぐらい近くにある。
由佳は心臓が口から飛び出しそうだった。
そして薫は唇が触れるか触れないかのところで、呟いた。
「だったらお望み通り、キスしてやるよ。」
その時、由佳は我に返り、薫をこれでもかと言うぐらい思い切り突き飛ばした。
「…ってぇ!」
「ふざけないで!私はあんたの事なんて好きじゃないし嫉妬なんてしてないから!」
由佳は叫んだ。