嘘つきなポーカー 1【完】


「もしかしてお前…俺が奈津子とキスしたから嫉妬してんの?」


由佳を塀の壁に追い込んだまま、薫は静かに呟いた。


「…ちがっ!」


そう言って否定しようとした由佳の顔に、薫の綺麗な顔が迫って来て、由佳は硬直した。

薫の長いまつ毛、綺麗な白い肌が見た事もないぐらい近くにある。


由佳は心臓が口から飛び出しそうだった。


そして薫は唇が触れるか触れないかのところで、呟いた。


「だったらお望み通り、キスしてやるよ。」


その時、由佳は我に返り、薫をこれでもかと言うぐらい思い切り突き飛ばした。


「…ってぇ!」

「ふざけないで!私はあんたの事なんて好きじゃないし嫉妬なんてしてないから!」


由佳は叫んだ。




< 366 / 451 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop