嘘つきなポーカー 1【完】


次の日、由佳は何事もなかったかのように登校した。

由佳が教室に入ると、真っ先に奈津子が由佳の存在に気付いて聞こえるように言う。


「あーあ、昨日は誰かさんが居ないおかげで快適な1日だったのに。ずっと休んどけよ。」


由佳が聞こえないふりをして自分の席に向かおうとすると、桐島と薫の姿が目に入った。
由佳の姿を見つけていつも通り囃し立てる桐島を横目に、由佳と薫の目が一瞬ばっちりと合う。

だが由佳は何か言いたげな薫の隣を、無表情で通り過ぎた。



これでこそ本来の自分だ、と由佳は思った。

一体今まで何を血迷っていたのだろう。
自分としたことが、とんだ大失敗だった。

礼子のあの一言がなければ、由佳は気付かずまた同じ失敗を繰り返したのだろうか。



――― 珍しく人間みたいな顔してるから。



礼子の言葉が、由佳の頭の中で何度も反響する。
そしてその度由佳は、愚かな自分を嘲笑った。

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