嘘つきなポーカー 1【完】
「お嬢さんよ、簡単なことじゃ。気付けばよいのじゃ。そして藻掻きなされ。」
「……。」
「それとも、気付かぬふりをしているだけかな?」
老婆は何もかもお見通しだとでも言うように、上目遣いで由佳の目をじっと見つめながら微笑んだ。
「……違います。」
由佳はそう呟いて目を逸らした。
その時、背後から甘酒を持った奈津子から声を掛けられた。
「由佳ー。甘酒持ってきたよー。…って、何してんの?」
老婆と向き合う由佳を見ながら、奈津子は不思議そうに尋ねる。
「ううん、何でもない。行こ。」
「うん。」
由佳は奈津子の腕を引いて、その場から離れた。