嘘つきなポーカー 1【完】
―― それは恋じゃよ。
―― お主は恋をしておる。だがそれに気付いておらぬ。
―― それとも、気付かぬふりをしているだけかな?
「…佳。由佳!」
奈津子に名前を呼ばれ、由佳は我に返った。
「ん?何?」
「だからー、おみくじ引きに行こうって言ったじゃん!」
「あぁ…そうだったね。あはは。」
由佳は苦笑いをしながら言う。
先程からあの老婆の言葉が由佳の頭の中をぐるぐると巡り、由佳はまるで上の空だった。
由佳は急いで甘酒を飲み干すと、よいしょと立ち上がり、奈津子と一緒におみくじを引きに行った。