嘘つきなポーカー 1【完】
13章 好きじゃない
正月が終わり、そして冬休みが明けた。
由佳はいつもより30分ばかり早く、玄関に立っていた。
時計の針は7時30分を指している。
由佳は忘れ物が無いか確認すると、恐る恐る玄関の扉を開けた。
「…よし。」
家の前に誰も立っていないことを確認した由佳は、ほっと安堵のため息をついた。
そして周りをキョロキョロと伺いながら、そそくさと登校した。
「いいよね、別に。約束してるわけじゃないし…」
由佳はそう自分に言い聞かせた。
いつもなら薫が家の前で由佳を待っていて2人で一緒に登校するのだが、今日は由佳が30分早く家を出たので、薫の姿はなかった。
由佳は何となく、薫と一緒に登校したくなかった。
クリスマスイブの一件もあり、奈津子やあの謎の老婆の言葉も相まって、由佳は薫と一緒に居て平常心で居られる気がしなかったのだ。