嘘つきなポーカー 1【完】


その時、ガラリと勢い良く教室の扉が開くと、和也と奈津子が入ってくる。


「みんな、あけおめ〜!…って笠原、今日は薫休みかー?」


和也は教室に入ってくるなり、由佳の姿を見てそう言う。


「いや、分かんない…」


由佳が答えると、奈津子は不思議そうに尋ねる。


「分かんないって…あんたたちいつも一緒に登校してんじゃん。どうかしたの?」

「喧嘩したんだってさー。」


答えたのは由佳ではなく華代だ。


「しばらく距離置くらしいよ。」

「へぇー、喧嘩したんだ?」


奈津子にそう言われ、由佳はコクコクと頷いた。

確かにクリスマスイブの夜、由佳は薫と喧嘩した。

距離を置いた理由はそれだけではないのだが、喧嘩したということは事実だ。

決して嘘ではない。







< 397 / 451 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop