嘘つきなポーカー 1【完】


ただし昼休みともなると、この戦法は通用しない。

1時間ずっとトイレにこもっているわけにも行かないだろう。


「由佳ちゃーん、お弁当食べよー。」


華代と奈津子がそう言って由佳のもとに来ようとした時、斜め後ろではぁーと大きなため息をつきながら薫が立ち上がる。


由佳の心臓が音を立てた。


「ごめん、先食べてて!」

「え、ちょっと…由佳ちゃん!」


由佳は教室を飛び出した。


もう本当私、何やってるんだろ――…。


由佳は廊下を走りながら、自分自身がしていることの不自然さに嫌気が差した。


だけど由佳はどうしても薫の顔が見れなかった。


薫の顔を見ると、どうしても心臓がざわめくのだ。



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