嘘つきなポーカー 1【完】
「恋か…。誰かの特別になりたいって思うようになったらそれが恋の始まりなんじゃない?」
松本先生は楽しそうに言う。
「…分かりません。」
「そっか。うーん、口で説明するのは難しいな。」
「そこをどうにか説明してください。」
「んー、じゃあ例えばだよ?由佳ちゃんが誰かに恋をしていたとして、それにまだ由佳ちゃん自身が気付いていないとしよう。」
「……。」
「その時、相手に関する何かがきっかけで君はとても傷付くんだ。」
「……。」
「その理由…、それは君が相手にとって特別じゃないかもしれないと分かったからじゃない?」
由佳はハッと息を呑んだ。
―― きっと薫はあんたに同情したのよ。
由佳は奈津子の言葉を思い出した。