嘘つきなポーカー 1【完】
だがその由佳と縁を切ってしまった今、薫の隣には誰も居ない。
要するに、話しかけることも告白することも容易いということだ。
よく考えれば、もとは薫は学校中の女子のアイドルだったのだ。
薫と話したい女子や、告白したい女子など山ほど居るに違いない。
薫が隣に居ることが当たり前になりすぎて、由佳は忘れていた。
「小野寺薫はいつか、誰かと付き合っちゃうのかな……」
今までに無いぐらい、由佳の胸が痛んだ。
「そしたら、私と一緒に過ごしたことも忘れちゃうのかな…」
由佳の目から涙がこぼれた。
「嫌だよ、そんなの。」
由佳は震える声で呟いた。
「他の女の子のところに行くなんて、嫌だよ…!」