嘘つきなポーカー 1【完】
14章 「好き」
ついに気付いた本当の気持ち。
だがそれも今となっては手遅れだった。
薫と縁を切ってしまった今、好きだと気付いたとしてどうなると言うのだろうか。
ましてや薫は同情なのだ。
「きっと最初から、どうにもならなかったんだよ。」
由佳は呟いた。
ピンポーン――
その時、玄関のチャイムが鳴った。
由佳は涙を拭って玄関のほうに向かうと、扉を開けた。
そこには息を切らしながら心配そうな顔している華代が立っていた。
「由佳ちゃん…」
華代は目を赤くした由佳を見て、悲しげに呟いた。
「お願いだから…1人で悩まないで?」
由佳は華代を家の中に招き入れると、口を開いた。