嘘つきなポーカー 1【完】
次の日、由佳が学校に着くといつも通り華代と奈津子と和也が声をかける。
「おはよ。」
由佳はそう言うが、一緒にいるはずの薫は相変わらず知らん振りだ。
分かりきっていたことだが、由佳の胸がズキンと痛む。
その時、華代が由佳に視線を送る。
由佳は頷くと、速くなる鼓動を抑えながら口を開いた。
「小野寺薫も、おはよう!」
由佳が不自然なほど元気にそう言うと、薫だけではなく奈津子と和也も驚いた顔をした。
華代は由佳だけに見えるように、親指を立てた。
「…おはよ。」
何かを疑うような目付きでぶっきらぼうにそう答える薫。
その一言だけで、由佳はとても嬉しくなった。