嘘つきなポーカー 1【完】


すると、薫は何か呟いた。


「…じゃねーよ。」

「え?」


よく聞き取れず、由佳は聞き返す。


「…だから、同情じゃねーよ。」


薫は目を逸らしながら呟いた。


「…ムカつくんだよ。俺があんだけ大切にしてやってたのにそれを同情だとか言いやがって。」

「……え、違うの?」

「当たり前だろ…。どこの誰が同情だけで刃物で刺されて入院するんだよ。」

「だってあの時、否定しなかったじゃん…?」

「呆れて言葉も見つからなかっただけだ。」


薫の言葉に、由佳はポカンとした。


「じゃあ何で…?」


由佳がそう尋ねると、薫は呆れたようにはぁーと大きなため息をついた。


「自分で考えろバーカ。」


薫はそう言い残して、教室を出ていった。


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