嘘つきなポーカー 1【完】


由佳は無頓着で、感情的にならない人間だった。
だから、何をされようとも反応をしなかった。

不幸なことに、その由佳の動じない態度がいじめを加速させた。
それが由佳がいじめられるようになったきっかけだった。


人と接することが苦手で、友達も居なかった由佳を助けてくれる人は誰一人としていなかった。
もちろんいじめに回らない人たちも何人か居たが、皆見て見ぬふりだ。
身を犠牲にしてまで由佳を庇おうとする人間など、当然居なかった。


だけど由佳は反抗することもしなかった。
反抗することすら馬鹿馬鹿しく思えた。

3年耐えれば、どの道このいじめっ子たちともおさらば出来る。

3年の我慢だ。

由佳はそう自分に言い聞かせていた。





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