嘘つきなポーカー 1【完】
由佳が学校を休み始めた日の夕方、由佳は松葉杖をつきながら自宅のポストに郵便を取りに行った。
そして、母親に宛てられた郵便物とは別に、折りたたまれた数枚の紙が入っていることに由佳は気付いた。
その紙には、綺麗な文字で「笠原由佳さんへ」と書かれている。
由佳がその数枚の紙を開くと、それはノートのコピーだった。
書かれている内容から推測するに、由佳が今授業でやっている次のテスト範囲のようだ。
それはとても丁寧な字できっちりと書かれた見やすいノートだった。
由佳もノートはきっちり取るほうだったが、それ以上にきっちりとしていた。
そして、ノートの下の空欄に小さく「お大事にしてください。」と書かれている。
だが、肝心な送り主の名前がどこにも書いていない。
由佳は不思議に思いながら家の中に戻り、ソファの上に腰かけると、ノートの隅々まで目を通した。
だがやはり、どこにも送り主の名前は書いていない。
字の雰囲気からして、送り主は女の子だろうと思った。
しかし、休んでいる由佳のためにわざわざノートを取ってくれる心優しい人など、居るはずがない。
もしかして、また何かの罠――…?
由佳はそう思った。