嘘つきなポーカー 1【完】
「でも、あんた以外に私に好意でこんなことする人がいると思う?」
「いや、思わない。」
由佳の質問に、薫は即答する。
即答かよ、と心の中で突っ込みを入れながら、由佳は再び先程ポストの中に入っていたノートに目を落とす。
何度見ても、綺麗なノートだ。
嫌がらせのために、こんなに綺麗なノートを書く人がいるのだろうか?
何にせよ、遠藤奈津子ではないことは明らかである。
「何なんだろう。嫌な予感しかしない。」
由佳は呟いた。
それから毎日、学校を休んでいる由佳のもとにその日の授業でやった範囲のノートが届いた。
ノートは毎日、丁寧な字で綺麗に取られていた。
そして毎日必ず一言メッセージが添えてある。
最初のうちはノートだけが届いていたが、何日かすると、手作りのお菓子や可愛いキーホルダーまで一緒にポストに入れられるようになっていた。
由佳は注意してポストを定期的に窓から見ていたが誰の姿も目にすることはなかった。
そして結局、送り主が誰だかは分からないまま1週間が過ぎてしまった。