嘘つきなポーカー 1【完】
由佳は制服に身を包み、ぎこちない手つきで靴を履いた。
よいしょ、と掛け声をかけながら片足で立ち上がり、目の前の全身鏡に目を向ける。
鏡に映った由佳の姿は、とても痛々しい。
松葉杖をつく由佳の右足には、大袈裟なほどに大きなギブスがはめられている。
前ほどは痛まなくなった右足首だったが、完全に治るにはまだまだ時間がかかりそうだ。
そんなハンデなどお構いなく、今日から今まで以上にひどい嫌がらせを受けるであろうことは由佳の目には見えていた。
林間学校であんなことがあった後だ。
無理はない。
由佳は大きなため息をつくと、玄関の扉を開けた。
「おっす。」
そう言って由佳の家の前で自転車に跨りながら待っている男の姿を見て、由佳は呆然とする。
「何しに来たの。っていうか、何で家の場所知ってるの。」
「まぁまぁ、細かいことは気にすんなって。お前、もしかしてその足で1人で学校行こうとしてたのか?」
そう言って小野寺薫は由佳から鞄を奪うと、自分の自転車の籠に乗せた。
「ちょっと!いいって!」