嘘つきなポーカー 1【完】
きっと次にどうやって自分を懲らしめるか考えているんだろうな、と由佳がため息をつきながらふと視線を移した先に、1人の大人しそうな女子の姿を捉える。
「あ、木村さん…。」
由佳は思わずそう漏らす。
由佳の視線の先にいた女子、木村華代は、由佳と目が合うや否や慌てて視線を逸らし、逃げるようにして去って行った。
由佳は林間学校の時に薫から言われた言葉を思い出す。
――― お前はハメられたんだよ。
いくら奈津子が指示したとは言え、華代が由佳を騙した所為で由佳は危険な目に遭ったのだ。
彼女も加害者の1人だ。
あんなにも性格が良さそうな人でも、平気で人を騙すことが出来るのかと思うと、人間とは愚かな生き物だと由佳は思った。
「……。」
由佳が隣をふと見ると、さっきまで呑気に鼻歌を歌っていた薫も、怪訝な眼差しで向こうのほうへ逃げるように走り去っていく華代の姿を見つめていた。