嘘つきなポーカー 1【完】
由佳と薫が2人で並んで教室に入った瞬間、ざわついていた教室の空気が一瞬で凍り付いた。
皆が呆然と口を開いて、由佳と薫の方向を見ている。
そんな沈黙を破ったのは、クラスのムードメーカー桐島和也。
「ちょちょちょちょっと待ったー!薫?冗談だろ?冗談だって言ってくれよ。」
薫に向かってそう言いながら桐島は由佳を指差して引きつった笑顔で言う。
「お前、こいつが誰だか分かってるのか?あの幽霊女だぞ?お前、この前の林間学校の時から何でこいつにそんなに手を貸すんだ?頭がおかしくなったのか?」
すると薫が口を開いた。
「俺は今日から、こいつの味方になろうと思う。」
薫のその言葉に、静まり返っていた教室がざわつき始めた。
その時、少し離れたところで、先程の派手な女子集団と一緒に気に食わないような顔でこちらを見ていた遠藤奈津子が、痺れを切らしたように由佳と薫のもとに歩いてきた。
そして、奈津子は薫の前まで来て立ち止まると、眉間にしわを寄せながら両腕を組んだ。