嘘つきなポーカー 1【完】
静まり返っていた教室が次第に騒々しくなり、そして視線は由佳へと注がれた。
クラス中の人がひそひそ話をしながら由佳のほうを見ている。
由佳はどうしていいのか分からず、視線を落とした。
すると、頭の上にぽんと薫の手が置かれる。
「まぁ気にすんなよ。」
そう悪びれもなく言う薫に、由佳は腹が立った。
そもそも、こんな状況になっているのも薫が由佳に構うようになったせいだ。
こんなに学校中の注目を集めるぐらいならば、まだクラスメイトにいじめられているほうがずっとかマシだ。
由佳は松葉杖で足を引きずりながら、教室を出た。
「おい、どこ行くんだよ。」
そう言って由佳について来る薫。
「ついてこないで!今はあんたと一緒に居たくないの!」
「はぁ?せっかく助けてやってんのに、何だその言い方は。」
「助けてなんて一言も頼んでないでしょ!」