嘘つきなポーカー 1【完】
昼休みの非常階段の踊り場、何故か由佳の目の前で鼻歌を歌いながら購買のパンを頬張る薫がいた。
「ねぇあんた…一体いつまで私と一緒に居るつもり?」
「え、いつまでって、ずっとだけど?」
「…はい?」
「だってお前と関わっちまったら今更他の奴のところとか戻れねーし。責任取ってもらわないと。」
「自分が勝手に関わってきたんでしょうが。」
「あー焼きそばパンうめぇ。」
「聞けよ。」
人の話を全く聞かずに呑気にパンを頬張る薫を見て由佳は大きくため息をついた。
せっかく自分だけのお気に入りの場所だったのにな――…。
由佳はそう心の中で呟くと、自分の弁当を開けた。
「あーそれ美味そう。いただき。」
そう言って薫は由佳の弁当箱にある玉子焼きに手を伸ばし、口の中に放り込んだ。
「あ…私の玉子焼き。」
「ふーん、まぁまぁってとこかな。」
「うるさい、だったら食うな。」