嘘つきなポーカー 1【完】
そして何故か今、小野寺薫は、由佳の前で仰向けになって爆睡している。
「どうしてこうなったんだか…。」
由佳は大きくため息をついた。
由佳は今までひたすら地味な学生生活を送ってきたつもりだ。
それ故にいじめられていたりもしたが、こんな学校一のイケメンと2人きりで昼休みを過ごすなど、考えもしなかった。
「それにしても、綺麗な顔だなぁ。」
風になびく黒髪、陽の光を浴びて輝く長いまつ毛、まるで女の子のような白くてきめ細やかな肌。
「こんな顔に生まれたら、人生楽しいんだろうな…。はぁ、憎たらしい。」
由佳はそう呟いて、非常階段の上に座り込んだ。
「っくしゅん。」
あぁ、誰かが私の噂してるよ――…。
由佳は心の中で呟いた。