嘘つきなポーカー 1【完】
「小野寺くんって、やっぱり超かっこいいよね~。」
「うんうん、本当に完璧な男って居るもんだよねー。」
由佳の隣に座っていた派手な女子2人がそう話しているのが由佳の耳に入って来た。
「でも小野寺くんって少し冷たいっていうか、あんまり何にも興味なさそうっていうか。」
女子2人のうちの1人が、薫を見ながらそう言った。
「でもまぁ、そういうところもまたかっこいいんだけど~。」
もう1人の女子がそう言うと、2人は顔を見合わせて「だよね~。」と盛り上がっていた。
由佳はちらりと後ろを振り返った。
すると一瞬、渦中の人物、小野寺薫とばっちりと目が合ってしまった。
由佳は怖くなって、すぐに目をそらして視線を自分のテスト用紙に落とした。
由佳のテスト用紙には、92点の文字があった。
由佳もこの学校には相応しくないほどの頭脳の持ち主だった。
ここ、武城高校は県内でも特にレベルが高いというわけではなかった。
むしろ、どちらかと言うとレベルが低いほうだった。
正直、由佳はもっとレベルの高い高校を目指すことが出来た。
由佳の成績でこの高校に通うのはかなりもったいなかった。
しかし家庭の事情でどうしても由佳はこの武城高校に入らざるを得なかった。
当然由佳はこの高校に入学すれば断トツで成績1位になると思っていた。