嘘つきなポーカー 1【完】
「帰るかー。」
当たり前のように由佳に向かってそう言う薫に、由佳はため息をつく。
「あのさ、当然のようにそういうこと言うのやめてくれない?変な誤解されると面倒くさい。」
「いーじゃん別に。一緒に帰るぐらい。」
「良くない!あんたが隣に居ると穏やかな登下校が出来ないのよ。」
「いやぁ、それは俺のせいじゃなくて俺のかっこよさのせいだから仕方ない。」
由佳が薫に言い返そうとしたとき、渡辺先生が薫の名前を呼ぶ。
「小野寺ー、松本先生がお前のこと呼んでたぞー。」
すると薫は、面倒くさそうな顔をして大きなため息をついた。
そして、不機嫌そうに教室の外へと去っていく。
松本先生って、校医の先生だよね?小野寺薫、怪我でもしたのかな――…。
由佳は少し不思議に思った。