嘘つきなポーカー 1【完】


何となく先に帰るのは気が引けたので、薫が帰ってくるまで待とうと思ったが、30分以上待っても薫は帰ってくる気配がなかった。


校医の先生と何をそんなに話してるんだ――…。


由佳はそう思いながら、荷物を持って立ち上がった。

薫を待っていたら一体いつになるか分からない。
先に帰ってしまおう、と由佳は思った。


1人で帰るのは久しぶりだった。

ここ何日かは、ずっと薫が隣をついてきたからだ。

そのせいか、1人で帰っていても、すれ違う何人かの人達は由佳の顔を見てコソコソと話をした。
何せ松葉杖が素敵な目印になってしまっている。


どっちにしろ、穏やかな登下校は無理そうだな――…。


由佳は心の中で呟いた。


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