優しくないっ、優しさを感じない!


「何してたんだ?もしかして本当に俺の事見に来てくれた?」


いや、もしかしたら本当は分かってるのかもしれない。分かっててわざと知らない振りをして、いつも通りに接してくれてるのかもしれない。気を使わせてしまってるのかもしれない。

だったらそれはダメだ、いけない事だ。気を使わせちゃうなんてそんなの前と同じ、何も変わらないし進めてないし、でもあたし…あたしの事なんて気づいてくれてないってたった今まで思ってて、それがまた嫌で、何も気づいてもらえないのが嫌で、でも気づかれたらそれもそれでダメで、それもやっぱり嫌で…


「ん?ヒロ?おーい」


…あれ?あたし、どうしたいの?


どうなれば満足なの?



「…もうすぐ夏休みだし、折角だからって練習を見に来たんだよね?ヒロちゃん」


ポンと、肩に手が置かれてあたしはハッと我に返った。反射的にその手の持ち主へと顔を向けると、それはレナちゃんによるものだった。


「レナちゃん…」

「よかったね、今日見られて。やっぱり部活に入ってない私達にとっては世界が違うやって話してたんだよね」

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