優しくないっ、優しさを感じない!


「え?…あ、そうそう。すごい大変そうだねーって話してて…うん。コースケも頑張ってるんだね」

「そうか?まぁ顧問は怖いけどな、でもけっこう良い奴ばっかで楽しいよ。ヒロも入れば良かったのに、あと霧野さんも」

「えー、それは少し考えちゃうなぁ…ん?」


自然と会話の中で出てきた名前、霧野さん。それは完全に霧野 レナちゃんの名前。てか苗字。

思わず隣のレナちゃんの方を見てみると、レナちゃんもポカンとしてあたしの方を見つめ返した。どうやら思ってる事は同じらしい。じゃあ…ここはあたしが代表して。


「コースケ、レナちゃんの名前知ってたんだ」


あたしの言葉にレナちゃんがうんうんと頷くのが横目で分かる。するとあたし達の前に移動したコースケは「当たり前だろ」と、ニッコリ笑った。


「ヒロといつも一緒に居る子だろ?話すタイミングがなかなか無くて声かけらんなかったから初めましてだな。俺は中村 コウスケ。野球部で、ガタイはそんな良く無いけど一応キャッチャーやってます」


なんて言うと、コースケはかぶっていた帽子を取って軽く会釈した。それにつられてレナちゃんも慌てて名乗りながら深々とお辞儀をする。


< 105 / 310 >

この作品をシェア

pagetop