優しくないっ、優しさを感じない!
「霧野さん良い子そうだから困ってんじゃないかなーって思ってたんだ。ヒロの世話やくの」
「え、ちょっと」
「違うよ、ヒロちゃんにお世話してもらってるのは私の方だよ。ヒロちゃんはいつも明るくて真っ直ぐで、だから私も元気を貰えるの」
「ヒロちゃんはとっても良い子で、素敵な子だよ」なんて、一生懸命に素敵な笑顔でレナちゃんはあたしの事をコースケに伝えてくれた。それにあたしは本日二回目の感動と、あとは嬉し恥ずかしな気持ちが一緒にやって来て…思わず、言葉を飲み込んでしまう。
こんな風に言ってもらえる程あたしは何もしてあげられてないと思うけど、それでもそれは紛れも無くレナちゃんの中にあるあたしという存在。あたしはレナちゃんの中にそんな素敵な人間として存在しているのだ。
「…ありがとう」
お礼の言葉が、その場に生まれた。確かにそれはあたしが思った事だけど…でもそれはあたしが口にしたものでは無くて、あたしはハッとその声の主に顔を向ける。
「ヒロの事そう言ってもらえると…なんか、俺が嬉しい」
そう続けたのは目の前に居るこの人。あたしの大好きな人。その人はあの時のようなとても優しい、穏やかな表情をしていた。
「俺もそう思うよ、ヒロはすげー良い奴だと思う。霧野さん、これからもヒロの事よろしくな」