優しくないっ、優しさを感じない!


あぁでも、それにしても暑い。これは焼けるぞ、すっごいジリジリくる。

家を出たは良いけど、出た瞬間野外の日差し地獄に照り返し地獄。やっぱり家の中居た方が良かったかも…なんて思いながらもこのまま何もせずに帰るのはシャクなので、兎に角急ぎ足でコンビニに向かった。でも用事なんて、これっぽっちも無いんだよなぁ。


「うわ、めっちゃ涼しーい!」


コンビニは夏のオアシス!なんて、一歩入った瞬間来て良かったーと思い改めたあたしは、いそいそとアイスコーナーへと向かった。さてさて、どのアイスを買おうかなーなんて早速品定めしていると、コンビニの入口が開き、「涼しー」という呟きが聞こえてくる。うんうん分かるよ、その気持ち分かると、入ってきたその人の方へと目をやると…


「え、コースケ?」

「お、久し振りだなヒロ」


すると「やっぱ夏はアイスだよなー」と、ニコニコと近づいてくるコースケは制服姿で、聞いてみたら部活帰りなんだと教えてくれた。そしたら「ヒロは?」って聞かれて「えっと…」と考えている間に、コースケはあたしの服装を確認したらしい。「暇つぶしだろ」なんて、笑いながら答えを言い当てた。

…恥ずかし過ぎて死にたくなる。こんな格好で行ったらダメだと、なんでお母さんは言ってくれなかったんだろう。


そしてそのまま二人でアイスを買って、コンビニの前で食べ始めた。ジリジリと熱がアイスを溶かす魔法をかけてくるので、会話もそこそこにむしゃむしゃと食べ続ける。


「あ、そういえば」


するとコースケは思い出したかのように呟くと、あたしの方へと振り返った。

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