優しくないっ、優しさを感じない!


「今度一年だけの試合があるんだ」

「へー!出るの?」

「出るよ。一年だけだし」


そして「楽しみなんだよなー」と、呟くコースケを見て、あたしも密かにその姿を想像してみる。

中学の時に気になり始めたのが三年生の頃だったこともあって、実はまだ一度もコースケの試合中の姿を見た事が無い。これはこれは、それはそれは…


「いいなぁ。あたしも見てみたい」

「ん?じゃあ来なよ」

「うん。…うん?え?」


今、なんて言った?来なよ?どこに?試合に?見たいなぁの後の来なよ、それってつまり…


「試合、見に行っていいの⁈ 」


思わず身を乗り出して溶けかけたアイスを落としそうになった。危ない危ないと慌てるあたしにコースケは、「少し落ち着けよなー」となだめつつもゲラゲラと笑う。


「来なよ、うちの高校でやるし」

「マジ⁈ 行く!やったー!あ、レナちゃんも誘っていい?」

「もちろん良いけど…霧野さん来るのか。緊張するな」

「え?何?じゃあやめとこうか?」

「いや誘って。連れて来て」

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