優しくないっ、優しさを感じない!


「え?う、うん。それならいいんだけど…」


なんだか、やけに力が入っているようにも感じたコースケの答え。それに緊張するって言ってたのになぁ…なんて違和感を抱きながらも、コースケが「じゃあ日にちとかまた連絡するから!」とアイスを食べ終えてしまったので、あたしは結局そこに触れる事もないままコースケと分かれて家に帰る事になった。

…うん、まぁいっか。試合すごい楽しみだし。


ーーその後、送られてきた日時を確認してレナちゃんに確認をとってみた所、午後ならオッケーとの事で、じゃあ午後に学校集合で!という約束になった。


よし、じゃあ当日までに野球のルールを完璧にしておかないと。

なんて、あれだけ練習を眺めてたくせに実はルールすら知りませんでした、の恥ずかしいあたしとさよならするべく、あたしはその日から宿題なんてそっちのけで野球の勉強をし始めた。

お母さんはそんな珍しく机に向かうあたしを見て、なんかもうすごく喜んでくれた。これは多分宿題でもやってるんだと勘違いしてるんだろうね、ケーキとかおやつに出て来たりしたからね。でもまぁ…騙してる訳では無いけど…なんだか申し訳ない。全力は尽くしますが、もしダメだったら夏休み最終日はよろしくお願いしますと、心の中では伝えておく事にする。



そして迎えた試合当日。

早く着き過ぎてもアレだからと、あたしも早めに軽くお昼を食べてから行くことにした。着いたのは12時半ぐらい。そしたらちょうど午前中の塾が終わったレナちゃんと連絡がとれて、校門に集合したあたし達は一緒にグラウンドへと向かった。


< 112 / 310 >

この作品をシェア

pagetop