優しくないっ、優しさを感じない!
あたしはバカだから一人じゃ気づきもしない
「でも本当良かったよね!コースケすごいカッコ良かったよね!」
まだまだ熱冷めやらぬ状態のあたしは、さっきから暇を見つけては熱弁している。そんなあたしに苦笑いを浮かべながら相槌を打つレナちゃんとは実は今、レナちゃん家で宿題中だったりする訳で。
「うん、そうだね。でもそろそろ…宿題の方もやらなきゃね、ヒロちゃん」
…ただし、レナちゃんの宿題は終わっているため、やらなければならないのはあたしだけなのである。そんなあたしが率先して喋り混んでいるのである。
でもそれには訳がある。熱も冷めないし、何しろちっとも進まない訳だから、だから余計にそれが顔を出すっていうか…
「…うん、やるよ?やってるよ?でもね、どうしても分かんないっていうか…やっぱ数学はあたしを現実から遠ざけるっていうか…」
「だから今日一緒にやってるんだよね?ヒロちゃん、もう夏休みも残り一週間切ってるんだよ?」
「…はい。ごめんなさい」
ニッコリと微笑んでるはずのレナちゃんなのにやけに怖い。ヤバイ、とりあえずまずはこれ、頑張ろう。
「あともうちょっとだもんね、数学終わるの。あと少し一緒に頑張ろう!そしたらゆっくり話そうね」
「レナちゃん…!」
しっかりフォローも入れてもらったあたしのやる気はバッチリ十分!よし、もう一息だ!