優しくないっ、優しさを感じない!



***



「…お、終わった~!」


夏休み最大の強敵を、レナちゃんの力を得てようやく撃破したあたし。

長い戦いだった…あと残り五日間。つまり五日前にラスボスを撃破したに等しい現状。後の残党なんてよっゆーう!


「レナちゃん本当ありがとう!今までの人生で一番良い夏休みの終わり方を迎えられそう!」

「本当?それは良かったよ」

「うん!なんか今年は良いことがたくさんあったなー…レナちゃんともいっぱい遊べたし、コースケの知らなかった一面も見られたし…」

「そうだね。お買い物とかお泊まり会とかしたけど、やっぱり最初の野球の応援に行ったのも楽しかったよね」

「うんうん。コースケカッコよかったし!」

「ふふ、ヒロちゃんはそればっかりだなぁ」


なんて、笑いながら改めて口にされると、いくらあたしでも何だかこっ恥ずかしくなってきた。確かに…確かにあたしはこんなことばっかり言ってるや。野球観戦の日からコースケ熱が再発してる自覚がある。


「でもヒロちゃんがそれだけ言うのも分かるなぁ。中村君って良い人だよね」

「そうそう、そうなんだよ。基本的に良い奴なんだよね」

「そう。道で急に会ってもね、全然仲良くないあたしにも声かけてくれるんだ。なんかヒロちゃんと似てるなぁと思った」

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