優しくないっ、優しさを感じない!


「コレだー!良かったぁ、大事なんだよー」


はい、と手渡されたボタンを受け取ると、あたしは感極まった状態で「ほんっとありがとう!」と、とにかく感謝の気持ちを伝えた。そんな高めのテンションのあたしに拾ってくれたその人は少し困ったようにしながらも、「いや別に、拾っただけだから」なんて笑って答えてくれる。


「でもかなり勢いづいてたからさ!拾って貰わなかったら無くなってたかも!ありがたいよー」

「そう?じゃあどういたしまして」

「うんうん!そうだよ、きっとそう!あー本当に良かったー。本当に大事なんだ、これ」

「…そうなんだ」

「そうなの!これさ、実は中学の卒業式に好きな人から貰ったんだよね。まぁでもフラれちゃったんだけど、それでもやっぱり大事でさー」

「……」

「まだ好きなんだよなー、どーうしても諦められなくて。なんかもうダメなんだよね、他の人じゃ。どうしても違うんだよね」

「……」

「だからコレには思い出が詰まってるってゆーか、思い出にしてたまるかって思いが詰まってるってゆーか、そんな感じな訳でさ、無くしたく無かったんだ!」

「……」

「いやぁ、本当良かったよー、本当良かった!ありがとう!じゃああたしはこの辺で!」

「……」


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