優しくないっ、優しさを感じない!


「いやいや、いいよ。あたし送った後レナちゃんが大変だよ」


「駅まですぐ傍だしね」そう言ってあたしは渋るレナちゃんを玄関に留めて、「また学校でね!」と、手を振って玄関を出る。


あー、楽しかったなぁ。


だいぶ涼しくなってきた時間。楽しかった一日を振り返りながらあたしは、駅までの道のりを歩き出した。道は大丈夫、近かったからこんな頭でもしっかり覚えてる。


数学も終わったし、後は残りをサーっと終わらせるだけ。学校が始まったらまたみんなと会えるなぁ…まぁ、今の遅起き生活には未練があるんだけどさ。うん。でも…久しぶりにアイツに会うのは少し…



『私も…タケル君とヒロちゃんが仲良くなるの、嬉しいな』



「………ん?タケル君?」


一人の人物を思い浮かべた瞬間、サッと蘇ってきたさっきのレナちゃんの言葉。

あれ?もしかして、そういえば進藤の名前って確か…


「タケル君?」


呟いた瞬間、カチッとハマった記憶のピース。ぼんやりとしていたそれがハッキリと姿を表した。


「!、そうだ。進藤 タケル…!」


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