優しくないっ、優しさを感じない!
そこがハマればあとは簡単に繋がって、今までのなんてこと無い事全てが一つの形になって浮かび上がってくる。
…でもあたしはとにかく一つ。全てが現れる前に一つのそれで頭の中が一杯になった。
…なんでレナちゃんは、あたしに黙ってたんだろう。
それは当然抱くはずの、レナちゃんへの疑問。
なんで…いつも、隠そうとしたんだろう。
徐々に生まれ変わる記憶のピースから、あたしはそれが“いつも”だと気がついた。今だけじゃない、それはいつも、毎回だった。
レナちゃんがタケル君って呼んだのは初めてだ。でも…こっちがきっと、本当の呼び方。だってすごく自然でしっくりきてた。つまりそれって、進藤とレナちゃんはただ同じ中学校ってだけじゃなくて、本当はすごく仲が良いって事…
ーーそしてスッキリしない、なんだか不安な気持ちのままあたしは駅まで辿り着いた。ちょうど電車が着いたみたいで、ぞろぞろと改札の向こう側から人が流れてくるので、その波が落ち着いてからにしようと横にズレた、その時だった。
「!、あれは…!」
人混みの中、目に入ったのは久しぶりのその姿。でも見慣れない私服姿。だけど間違いない結構会いたかった彼の姿。
「進藤!」
改札を出てきた奴に声を掛ける。すると進藤は驚いた顔をして足を止めた。