優しくないっ、優しさを感じない!
「…というかおまえ、なんでここに居るの?」
「え?あぁ、今日はレナちゃん家で一緒に宿題して…」
「あーなるほど。じゃあ俺はこの辺で」
「えぇ⁈ なんでそうなるの⁈ 」
そして本当にどっか行こうとする進藤を、「ちょっと待って‼︎ 」と全力で引き止める。本当にもう、油断も隙も無い奴だコイツは!なんて再度奴の腕に手をやると、進藤は渋々と足を止めてゆっくりと振り返り、じとっとした目であたしと向き合った。
「…何?俺、忙しいんだけど」
「うわぁ、久々でもやっぱり通常運行」
「…帰る」
「うそうそ!お願い少しだけ!少しだけ付き合ってっていうか聞きたい事がある!」
本当は色々あったけど、とりあえず絶対のお願いを一つあたしが口にすると、ギャーギャーと必死に腕に縋り付いたあたしを見て、「はぁ…」と進藤は大きな溜息をついた。というか、どうやら諦めをつけてくれたみたいだ。
「…で、聞きたい事って?」
やれやれと、これもまたいつもの表情であたしに目をやる進藤に、あたしはここぞと気持ちを切り替えた。なんだかんだで話を聞いてくれる進藤の、じゃあ言ってみろというお許しが出た訳だ。これに全てを掛ける気持ちで…!