優しくないっ、優しさを感じない!
「俺とレナがどうとか、レナの本心がどうとかよりもまず、おまえはそれを心配した方が良いんじゃないの?」
「おまえが何もしないでいる間に変わる事があるとしたら、きっと一番はそれだよ」ーーそう進藤があたしに告げて、話は終わりを迎えたみたいだった。進藤が、その場を去って行こうとする。
「…し、進藤っ!」
その後ろ姿に、あたしは思わず声をかけた。
行って欲しく無かった。まだ整理がついていなかった。というかもう、頭の中も心も全部グチャグチャのゴチャゴチャで…あたしはとにかく今、目の前の進藤に縋りたかった。あたしを助けてと、助けてくれるはずもないと分かってるけどどうしても、どうしても彼に縋り付きたかった。
だってこんなの無理だ。このまま帰るなんてあたしには無理だ。
「…何て顔してんの」
足を止めて振り返った進藤が、あたしを見る。
「そんな顔したってダメだよ。俺はおまえに優しくなんてしない」
「……」
やっぱり、返って来たのはその言葉。そんな現実。
それに見捨てられたような、そんな辛い気持ちになるのはきっと、まだあたしが進藤ならもしかしたら…と、可能性を信じていた、そんなバカな感情を抱いていたから。そんな事言いつつ…なんて、親切の枠の中で付き合ってくれると、そう思っていたからだ。
すると、絶望にも近い感情を抱いたあたしの心情を理解したのであろう進藤は、こんな言葉を口にする。
「でも…もし、おまえが俺に優しくされたいって言うなら方法はある」