優しくないっ、優しさを感じない!
3.
準備も出来ないまま、その時は来る
…こんなに辛い気持ちで登校する事が、今までにあったかな。
進藤と会った日から色々悩んで考えて、でも出せない答えが重くて仕方なかった。重たいままずっと抱えて、どうにも出来ないそれはいつもピッタリ傍にあるのだ。
…だからこそだろう。悩み抜いた最後に思い浮かぶのは、縋る様に思い浮かべてしまうのは…毎回何故か、やっぱり進藤で。
するとそんなあたしはいつも思い出してしまう。あの時あたしに告げた、進藤の最後の一言を。
……好きになればいいなんて、どんな意味で言ったんだろう。
正直、進藤の言葉の意味、そんな所まで手は回らなかった。どこまでをどう考えるべきなのか、優先順位を考えたらやっぱりそこじゃない。あたしがやるべき事はそれを考える事じゃない。そう割切って考え進めても、やっぱり出せない答えは出せないままで何も進展はしない。それはそれのまま、あたし一人じゃどうしようも出来ない。でもどうにかしたい気持ちで一杯で、だけど…
ーーそんなこんな足掻いている内に、結局あっという間に五日が経ち迎えた9月。
何も解決していないあたしはまた、一ヶ月振りに学校生活へと戻って来てしまった。
着いてみると、そこは何も変わらない。一ヶ月間通ってなかったのが嘘みたいに、学校に着いた瞬間からあたしは自然な動きで教室へと向かい、いつもの時間が動き出したのが分かった。
身体の方は完全に覚えている事を当たり前にこなしていく。向かうべき場所に真っ直ぐ向かっていく。でもそんな動きに対してあたしの心は…ついて行けていないのが現状で。