優しくないっ、優しさを感じない!
「…覚えてるよ。だから何?それがなんだって言うの?」
「だからおまえに優しくしたく無いんだよ。おまえにいくら優しくしたって何も返ってこない。おまえは俺の事が好きじゃないから」
「あのねぇ、さっきも言ったけどあたしはあんたの事嫌いじゃないって何度言ったら、」
「むしろそれは俺のセリフだよ。何度言ったら伝わるのかな、俺の言ってる意味は」
「…は?」
言ってる意味?
それって、何?何か違うって言いたいの?え、これの、どこが?
…何言ってんの?
そんな思いつきもしない問題を前に、戸惑いを隠しきれないあたし。そんなあたしを見て進藤は、やれやれという様子で溜息をついた。
「今日なんてそんなに俺の事好きなのかと思わせといての大嫌いだからね。結局おまえの頭の中じゃ落ち着く先はそこかと思ったら、なんか意地はってんのもバカみたいに思えてきた」
…意地、はってる?
「…だからさ、もう、折れる事にした」
そう言うと進藤は、カーテンの外へと出ていった。何?折れる?なんて思ってるうちに進藤はすぐに戻ってきて、そして「これ」と、あたしに一枚の紙を手渡して来る。どうやら今外で問題なさそうな紙を使ってメモしてきたらしい。
それを受け取ったあたしは、まじまじとそのメモへと視線を走らせた。
「…電話番号?」