優しくないっ、優しさを感じない！

「え、怒るんじゃん！じゃあどうすればいいのコレ、絶対怒るじゃん、意味無いじゃん」

「きっとすごく有難く思う時が来るよ、近いうちに」

「…え？」

「絶対かけてくる事になる、おまえは俺に頼るしか無くなる」

「…な、何それ」


やけに自信ありげに断言する進藤。そんな進藤の言葉はあたしにとって、なぜか変更不可能の絶対的な未来予知の言葉に聞こえた。

…やめてよ。そんなの…不安になる。


「…そ、そんな事ないかもしんないじゃん。あたしだけでも上手くいくかもしんないじゃん」


不安をぬぐい去ろうと、あたしはそんな言葉を口にした。自分に言い聞かせるように、進藤に言い聞かせるように。


「進藤の事だって信じてなんて無いんだから。あれだけあたしには優しくしないって言ってたくせに、相談にだってのってくれなかったくせに、今更こんな事言われたって信じたりしないんだから」


騙されるものかと、どうせ最後にはレナちゃんの方を取るくせにと、あたしは言葉を心に染み込ませないように必死だった。進藤に信用したと思われるのだって、負けたみたいでシャクだった。


でも、進藤はそんなあたしの心境を知ってか知らずか、「そうだね」なんて平静を保ったまま頷いて、あたしから視線を逸らそうとはしない。


「いらなかったら捨てればいいよ、それで終わりだ。でも俺の居ない所でしてね。傷つくから」


そして、「じゃあね」と呟くように言うと、進藤は一人、カーテンの向こうへと行ってしまった。